今回は「投資で一番大切な20の教え 賢明な投資家が知らない隠れた常識 [ ハワード・マークス ]」
という本の概要について書きたいと思います。
この本は、具体的にどうしたら利益を出すことができるとか
チャートやオシレーター系の指標を使って売買のタイミングを図ることができるなどといった
テクニックを紹介するというハウツー本ではありません。
投資の世界で長く生き残ることができる「思考方法」を教えてくれる本です。
筆者が一貫して伝えている内容は、
投資を成功させる上で最終的な鍵となるのは、価格と本質的価値の関係だ。
投資て一番大切な20の教え 〜賢い投資家になるための隠れた常識〜 ハワード・マークス著 ※以下全て同じ
最も確実に利益を上げる方法は、本質的価値を下回る価格で買うことである。
本質的価値を上回る価格で買うのは、ほとんど無意味な行為だ。
率直に言うと、最良の投資方法とは、暴落時にどんな価格でもとにかく売らなければならない人から買うことである。このような相手はつねに存在するわけではなく、危機時かバブル期という、まれにしか訪れない極端な状況でのみ出現するからだ。
投売りする人から買うことはこの世界で最良の選択肢だが、投売りする側になるのは最悪の道である。
したがって、最悪の時期に資産を売らずに保持できるよう、やりくりすることが不可欠だ。
そのためには長期資本と心理的な強さが必要となる。
積極的にリスクをとって並外れた利益の獲得を狙うか、損失を回避するか。
2つの投資アプローチのうち、後者の方が確実だという考え方。
「損失を回避することが自ずと全体の収益率を高める」と明言していて、
派手にホームランを打つ必要はないから、高い打率の維持を目指せと教えてくれています。
この考え方は、”投資サイクル”を考慮すると、今、特に必須の考え方だと感じます。
そう遠くない未来に訪れそうな金融バブル崩壊時の市場でどう動くのか
“予定”を立てておかないと巨大な損失を被り、
せっかく訪れる”バーゲン・ハンティング・タイム”の到来した相場で尻込みをして
チャンスを逃すことになってしまします。
歴史をさかのぼると、
バブルが弾ける少し前に、新規の個人投資家が新たに参入してきています。
もともと投資に興味がなかったはずの彼らが「株式投資をすれば簡単に稼げる」と言い始めたら、
バブルが弾けるタイミングと考えて良いと思います。
そしてバブルが崩壊するとほとんどの投資家は大損をして、
後悔と共に「二度と投資はしない」と言い始めます。
その時が株を買うべき絶好のタイミングと判断すると良いのではないかなと思います。
というようなことを、ジムロジャースがコロナバブル崩壊に向けた注意喚起として発言していました。
2008年のリーマンショック時、日経平均株価が6千円台まで落ちたとき、
以前から暴落時にバーゲンセール価格で株を購入すると決めていたのに、
あまりの暴落ぶりに「もう株価は戻らないんじゃないか」と疑心暗鬼になり
当時、結局購入することができませんでした。
その後悔と教訓を活かして、次のサイクルとして
「その時が来たらその”バーゲン・ハンティング・タイムは逃さない」と心に刻みました。
「予測は不可能、準備は可能」
これはつまり、
投資家は、”いま現在、サイクルや振り子のどこの位置にいるのかを見出す努力をすべきだ”
ということをいっています。
そうすれば将来の動きが予測できるわけではありませんが、
起こりそうな事態に備える手助けにはなるからです。
本書でもそのように促しています。
恐怖が市場を取り巻くとき、投資家にとって重要なのは売らないこと、そして、できれば買うことだ。
実際のところ、相場のピーク、つまり周りの誰もが買い、専門家が明るい展望を示し、
強気の論理が広く受け入れられ、価格が急騰し、高いリスクをとっている者が高リターンを記録している状況で、買わずにいることは難しい。
同様に、正反対の状況が生じている相場の底で、売らずにいることは難しく、
保有しつづけることや買うことは、何もかも失うリスクにつながりそうに見える。
ましてや、その状況で買うことはさらに一段と難しい。
「我慢強くチャンスを待つ」
ここ20年で例を挙げると、
バブルの誕生と崩壊のサイクルは、
2005年から2007年初頭にかけては非常に割高な水準で売るチャンスの時期で、
2007年から2008年にかけては投売り価格で買うチャンスの時期というサイクルがありました。
最も直近では、
2020年3月のコロナショックで世界的な株価暴落で底値をつけてから現在までの期間も
バブル誕生と崩壊のサイクルになるのではないかと考えられます。
繰り返しになりますが、
2021年7月現在、チャンスのタイミングが来るのはそう遠くないところに来ているように思えます。
適切な「恐怖心を持って投資」を行なっていきましょう◎
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