先日【ビットコイン】世界初の法定通貨に採用という
世界で初めてビットコインが法定通貨になることが決まった旨の
記事を紹介しておりました。
あれから90日後の2021年9月7日、
本当にビットコインが法定通貨となる日が実現しましたね!
壮大な社会実験として注目しているワケですが、
これによるビットコインへの影響や、
一国の法定通貨としてうまく機能するのかどうかなどの懸念もつきないのが事実です。
今回の記事では、
①エルサルバドルでのビットコインの法定通貨化のよる仮想通貨市場への影響 これによるビットコインの価値下落はある? 仮想通貨市場全体に対しての影響はある?
②国の法定通貨としてうまく機能するのか エルサルバドル内での格差は発生する? ※エルサルバドル人回答者の90%以上がビットコイン導入に懐疑的で、 4分の3が引き続きドルを使うと明言しています。 ドルも並行して法定通貨なんだから対ドルに対してのインフレ懸念は?
③「リープフロッグ」はありえるのか
について考察していきたいと思います!
BTCの法定通貨化による仮想通貨市場への影響
もしエルサルバドルがコケたらBTCの価格はどうなるの?
これについては導入初日の9/7に早速影響がありました。
というのも、
エルサルバドルの法定通貨になったその日にビットコイン相場が急落しました。
ビットコインの価格は、12時時点で580万円台でしたが、
半日で1万ドル(約110万円)幅の下落を記録し、
仮想通貨市場で大規模ロスカット発生したこともあり
一時500万円を大きく割り込み470万円台を付けるなどオーバーシュートしました。
ビットコイン価格はその後の取り引きで少し回復したものの、
下げ基調はまだ落ち着いていない状態です。
その背景は、
エルサルバドル支援計画が裏目に出たとの見解があります。
エルサルバドルでは、
専用の電子財布であるデジタルウォレット「Chivo」とビットコイン普及を目的に、
国民1人あたり30ドル相当のビットコインを配布する計画でした。
しかし、そこでトラブルが発生した模様。
ウォレットの「CHIVO」がアクセスによる負荷急増による技術的な問題によって、
アクセスが一時停止してしまったようです。
現在は使用可能に復活していて、
エルサルバドルでは、BTCを使って商品を購入が可能となっています。
国の法定通貨としてうまく機能するのか
BTCを法定通貨に採用するなんて
まだまだ問題が山積みなんじゃ。。。?
世界で最初にBTCを法定通貨採用に踏み切るなんて
勇気あるーーー!
そもそもエルサルバドルでBTCが法定通貨に採用された狙いは大きく2つあります。
①海外からの送金(仕送り)の手数料を削減してさらなる送金の増加を狙う
②国民の7割が銀行口座を持てないという金融サービスへの アクセスができない者の救済が狙い
まず、①海外からの送金(仕送り)の手数料を削減してさらなる送金の増加を狙う
エルサルバドルは国が貧しく自国内で生活が成り立たないという理由から、
他の国に出稼ぎに行く者が多いのが実情です。
出稼ぎで稼いだお金を、エルサルバドルに住む家族へ仕送り(送金)していて、
この送金が国内総生産(GDP)の約20%を占めているんです。
つまり、海外送金コストはエルサルバドル人にとって重要なポイントというワケです。
BTCでの送金が実現すれば、
国際銀行送金やその他の手段での送金より低コストでかつ早いというメリットがあります。
次に②ですが、現状、エルサルバドル国民の7割が銀行口座を持っていません。
途上国地域の貧困層でよく見られる現象を補完するのに、
BTCを採用することが都合が良いためです。
その現象とは、住所がないとか、出生届を出していないとか、
そのために与信力がなく銀行口座を持てないなどの金融サービスへの
アクセスができない者が発展途上国の貧困層では多いということです。
つまり、銀行口座を持っていなくてもスマホさえあれば送金可能になるという
BTCの性質を利用することで、
金融サービスへのアクセスができない者を救済できるというメリットがあるワケです。
なるほどー!
確かにエルサルバドルのような国にとってはメリットが大きいように思えるのに、
どうしてもっと他の国もBTCを法定通貨として採用しないの?
デメリットやリスクがあるの?
やっぱりまだまだ問題が山積みなの。。。?
少なくともIMF(国際通貨基金)の見解では、
ほとんどのケースではリスクとコストが潜在的メリットを上回ると見ています。
というのも、手っ取り早く上述の狙いを解決すべく、
暗号資産を国の法定通貨に採用することで
アクセスしやすく、取引コストも安価というメリットを享受したいという
誘惑に駆られる国の気持ちは理解はできます。
ですが、やはり
暗号資産は銀行サービスを利用できない層の支払い手段として
普及はするかもしれないけれど、価値を保管する手段にはならないのでは?
という見解が主流のようです。
というのも、
暗号資産を受領した人はすぐに現実の通貨(米ドル)と交換するはずだからです。
暗号資産の価値は変動があまりに大きく、実体経済と結びついていないために、
米ドルとして保有していた方が安全と考える方が〇〇的だからです。
エルサルバドルのような比較的安定していない国々にとっても、
ドルやユーロといった国際的に認知された準備通貨を使うほうが、
暗号資産を採用するより魅力的である可能性が高いというワケです。
具体的には次のようにIMFは言及しています。
ビットコインのような暗号資産が広範に使われるようになることの最も直接的なコストは、
出所:暗号資産を国の通貨に採用するのは早計だ(IMFによる見解書・評論)
マクロ経済の安定への影響だ。
財やサービスの価格が現実通貨と暗号資産の両方で設定されれば、
家計と企業はどちらのマネーを保有すべきか選択するのに相当な時間とリソースを使うことになり、
その分生産的活動に費やす時間が減るだろう。
同じように、課税額があらかじめ暗号資産で決められる一方、
歳出の大部分は自国通貨のまま、あるいはその逆の状態になれば、
政府の歳入は為替リスクにさらされることになる。
金融政策の効果も薄れるだろう。中央銀行は外国通貨の金利を設定することはできない。通常、外国通貨を自国通貨として採用する国は、他国の金融政策の信頼性を「輸入」し、経済(と金利)を他国の景気循環と一致させたいと考える。暗号資産を広範に採用する場合、どちらの効果も期待できない。
出所:暗号資産を国の通貨に採用するのは早計だ(IMFによる見解書・評論)
その結果、国内物価はきわめて不安定になる可能性がある。たとえすべてのモノの価格がビットコイン建てになったとしても、輸入される財やサービスの価格は依然として市場価値の動き次第で大きく変動するだろう。
それに加えて銀行をはじめとする金融機関が、暗号資産の価格の大幅な変動にさらされる可能性がある。たとえばビットコインに法定通貨の地位が与えられた場合、銀行の外国通貨やリスク性資産の保有高に対するプルーデンス規制を維持できるのか、定かではない。
出所:暗号資産を国の通貨に採用するのは早計だ(IMFによる見解書・評論)
さらに、別方向からの問題点も出てきました。
世界銀行が、
「ビットコイン法施行のエルサルバドルは支援対象外」と
改めてエルサルバドルへの支援を拒否してきたことです。
※世界銀行とは、貧困削減と持続的成長の実現に向けて、途上国政府に対し融資、
技術支援、政策助言を提供する国際機関のこと。
エルサルバドル政府からビットコインに関して支援を求められたが、
環境面、透明性の点で欠陥があることを踏まえると、
世界銀行として支援できる対象ではない」と述べ、支援を拒否した理由を説明しています。
また、米ドルとの兼ね合いでも問題があります。
エルサルバドル政府は、
国営銀行に1億5,000万ドル(約165億円)を準備して、
ビットコインとドルとの交換性を保証するとしています。
これに関してJPモルガンは、
政府のプラットフォーム上でビットコインと米ドルの交換需要の不均衡が続いた場合には
エルサルバドル国内の米ドル流動性も損ない、
最終的に財政や国際収支のリスクを引き起こしかねないと指摘しています。
ボラティリティの問題については、
ビットコインを法定通貨にするとともに、
エルサルバドル内でのビットコインの取引に、
積極的に介入する考えがエルサルバドル政府にはあるようです。
政府は、国営の開発銀行に設けた1億5,000万ドル(約165億円)の信託を通じ、
決済時にドルとの交換性を保証するとしています。
これはあたかも、自国通貨の発行額を外貨準備額以下に抑え、
外貨との交換を保証することで自国通貨の安定を図る、カレンシーボード制に似ています。
ですが、ビットコインは世界中で取引されていて、
その取引の中で対ドルレートも決定されています。
そのレートをエルサルバドル内だけで安定させることはできない
と考えるのが妥当ではないかと考えられます。
【専門家解説】世界初、ビットコインを国の通貨に?専門家に重要性を聞いた
(ゲスト:bitFlyer Blockchain 代表取締役 加納裕三氏)
「リープフロッグ」はありえるのか
世界初のBTC法定通貨化で
エルサルバドルがもしかしたら世界のトップになったりして?!
「リープフロッグ」とは、蛙跳びのことです。
蛙が跳躍して何かを飛び越えるように、
それまで遅れていた国が、ある時、急激に発展し、
先を行く国を飛び越えて、世界の先頭に躍り出る。
そして世界を牽引する現象のことです。
目覚ましい発展の背景を調べると、
そのほとんどがリープフロッグで説明できるのです。
「遅れていたことを逆手に取った」ということができますし、
「失敗したから成功した」ということもできます。
歴史を見ると、こうしたケースが数多く見られます。
イノベーションを支援して育む国家はコミュニティーからの支持を得て、
多くの(仮想通貨)企業の誘致につながると考えられます。
政府からの介入を気にせず、未来を築くことが可能になります。
エルサルバドルの行く末はどうなるんでしょうね。
ビット法定通貨は奇策で終わるのか
それともリープフロッグ現象を起こして世界のトップに跳ね上がるのか。
今後の動向に注目していきたいと思います!
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