レンタルなんもしない人ってネーミングセンスが凄いですよね。
こんなパワーワード思いつかない。
しかも「なんもしない人」を仕事にするっていう発想が凄い。
始まりは2018年、
「『レンタルなんもしない人』というサービスを始めます。1人で入りにくい店、ゲームの人数あわせ、花見の場所とりなど、ただ1人分の人間の存在だけが必要なシーンでご利用ください。国分寺駅からの交通費と飲食代だけ（かかれば）もらいます。ごく簡単なうけこたえ以外なんもできかねます」（原文ママ、レンタルさんのツイートより引用）
というツイートから活動が始められています。
現在は、依頼件数が増えたため需要と供給の関係で
「なんもしないこと」を1万円で引き受けてくれるそうです。
「“なんもしない”が、自分にはいちばん向いていた」というのが始めたきっかけだそう。
もともと仕事色々試してみたけどなんかだめだった。何もできなかったとか。
そこから元々自分の中にあった『何もしない』コンプレックスと結びついたそう。
物理で例を出すと、皆既日食のとき、普段は光球の明るさのせいで見えないコロナ（太陽大気）が見えるようになるんですよね。ほかにも『HUNTER HUNTER』という漫画でオーラを完全に消す『絶』という状態になっている間だけ発動する能力や必殺技があって、リスクが大きいだけにかなり強力なんです。何かすることによって、その『したこと』に注目され、その存在そのものから放たれる何かが埋もれてしまうことがある。でもなんもしなければ、なんもしないそのままの状態で、何かが発生することがあるんじゃないか、と思っています」（LIFULL STORIES しなきゃなんてないより引用）
なんもしないとはいえ、簡単な受け答えはしてくれるみたい。
なんもしないとするの境界線はどうやって決めているんだろうって思ったら
レンタルなんもしない人のなんもしないに対する価値観をこう考えているようでした。
「なんもしないとなんかするの境界の部分も、そのときの気分で決めてることが多いのですが、いまの気分を指針にするためには、いま以外のことを考えないようにしています。先ほどの皆既日食の話に近いですが、先のことを考えようとすると、先の心配で頭が埋め尽くされるせいで自分のいまの気分が自分でもよくわからなくなるので。あえて先のことを考えないようにして、その時の気分に任せています」（LIFULL STORIES しなきゃなんてないより引用）
“今以外のことを考えないようにする”という価値観。
これって思っているより本当に難しいと思う。
人生100年時代と言われる現代人にとって、
先を考えず今に集中できている人はどれくらい存在しているんだろうかと思う。
圧倒的にマイノリティ。
人生100年と長いのに、現代人はある程度未来に見当がついてしまう。
こうしたらどうなるというパターンがネットで検索すれば出てきてしまうから。
本当はそんなパターン存在しないかもしれないのに、
何でも検索すれば、未来に期待の持てない誰かの回答が見つかっちゃうから
“ですよね”で終わってしまう。
誰かの回答に勝手に未来に検討をつけ、
何とも言えない焦燥感や漠然とした不安をインプットして逃避。
先のことばかり考えて”今”に集中できない現代人はきっと幸せじゃない。
少なくとも心の安息は得られないよね。
「レンタルなんもしない人」という仕事は楽しいらしい。
なんもしない……けれど、充実している。
そして、なんもしないけれど、人々から必要とされている。
きっと”今”目の前のことに集中しているレンタルさんだからこそ
「なんもしないこと」に価値や魅力を漂わすことができて
なんもしないそのままの状態で、何かが発生してるのかも。
なんもしなくていい。
家族でも友人でも恋人でもない、自分のことをまったく知らない誰かに、ただそばにいてほしい。
こういう需要って今に始まったことじゃないんじゃないかなって思ったりする。
昔は自然にそのときそこに居合わせた人間とただ時間を共有する。
何の利害関係もなくただ会話をする。
それが特別なことでもなくただそういう事象として存在する。
でも今はそんなことは自然には成り立たないから、
あえて「なんもしない人」をレンタルしたいと思うのかもしれないなって。
ある種のないものねだりなのかもしれないし、本能的に求める心理や行為なのかもしれないし。
「レンタルなんもしない人」に一定の需要があるのわかる気がするなあ。
私もレンタルしてみたい。
依頼内容は、私の話をただ聞いていてほしい。
全部聞いた後、ただ思ったことをそのまま感想として聞かせてほしい。
感想なければないでいい。
これは「レンタルなんもしない」の境界線に引っ掛かるかな？
「レンタルなんもしない人」これからもなんもしない活動の中で
感じた世界を発信し続けて欲しいです。
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